府中家具について

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Fuchu Furniture府中家具について

広島県の東部に位置する府中市。山に囲まれ中央には一級河川である芦田川が流れる、自然に恵まれた街です。古くは山陰と山陽地方を結ぶ石州街道沿いの宿場町として栄えていました。有形文化財として登録されている「恋しき」は府中のシンボル的建造物で、多くの政治家や著名人が宿泊したことで知られています。
宿場町として繫栄した府中市で家具づくりが始まったのは、江戸時代の元禄末期のころ。備後の国の「内山円山」という人物が大阪で箪笥づくりを覚え、故郷に戻って製作を始めたのが起源とされています。

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府中家具について

府中は日本一と称された
技術力の高さ

戦後に行われた既製家具のコンクールでトップ賞や上位入賞を繰り返し受賞してきた府中家具は、斬新なデザインを生み出すこともさることながら高度な技術力も高く評価されており、今もその技術は受け継がれています。チェストの引出しの密閉具合は、閉じたときに行き場をなくした空気が押され隣の引出が動くほど。湿気から衣服を守ってくれます。

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各企業で切磋琢磨した
塗装の美しさ

商品の見た目を大きく左右する仕上げ工程の一つが塗装です。府中家具はこの塗装の技術が高いのが特徴です。その理由は、各企業が互いに塗装の腕を競い合い、細部まで洗練されたデザインも見逃さないから。そこにあるだけで心地よさを感じてもらい、長く付き合っていける家具づくりを実践しています。

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衣服の保存に適した桐材を育てる

一般的に服を収納するチェストには、家具表面の「表面材」と衣類に直接触れる「内部材」の2種類があります。表面材にはデザインに応じて様々な木材が使用されますが、内部材には衣類の保存に最も適していると言われている桐材を使います。府中家具で使用される木材は表面材、内部材ともに質の高い天然木ばかりです。「この木なら良い家具になる」と思える木を、原木の1本1本確かめながら選んでいきます。

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1704年(宝永元年)

府中家具の起源

着物を収納する衣裳箪笥は江戸時代の寛文年間に大阪で作られたのが初めとされていますが、府中家具の始まりはその少し後の宝永の時代。備後国有磨村の内山円三が大阪で箪笥の製法を習得し、帰郷して製作に着手したのが起源とされています。

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1914年(大正3年)

大正時代の箪笥の生産

大正3年に府中~福山間に鉄道が開通し、それまで人力や牛に引かせて運んでいた箪笥を遠方まで届けられるようになりました。同時に遠隔地から大量の木材が入荷するようになり、箪笥に用いた材の種類は急激に増えはじめます。第一次大戦の影響で軍需景気により経済がうるおい、「成り金」が増えたことで箪笥の需要が急激に伸びます。箪笥職が軒を連ね朝早くから夜更けまで、ノミやカンナを使う音が絶えなかったといいます。

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1953年(昭和28年)

婚礼家具セットが誕生

府中家具といえば婚礼家具セットというイメージが強いかもしれません。箱物家具が流行った昭和中期に先駆けて登場した府中の婚礼家具は、どのように誕生したのでしょうか。
当時日本は中小企業の産業振興を図るための施策として「中小企業等協同組合法」を立法化したことで、事業者同士が互いに助け合い組織化する気運が一気に高まりました。そのため府中家具各社も協同組合を創立し、その中で新商品の開発を進めました。 組合では「統一されたデザインの家具で新生活をスタートさせることが出来ればどんなに素晴らしいだろう」と職人たちが話し合い、各社で作った様々な箱物家具のデザインを統一して木目を揃え試作を作ります。
商品化されたセット家具が初めて展示会に出品された大きな注目を集め、それ移行次々と新しい婚礼セットが出品されたちまちヒット商品となったのです。やがて府中は「婚礼家具セットのメッカ」と言われるまでになりました。

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1955年(昭和30年)

府中の家具は日本一

昭和30年に東京で全国有料規制家具展示会が開催されると同時に、製品コンクールも催されるようになり、「全優展」の名で親しまれ全国市場の登竜門として定着しました。回数を重ねるごとに出品社数や来場者も増え、最も権威あるコンクールとして位置づけられるようになり業界はこぞって挑戦するようになります。
府中の企業がこのコンクールで初めて入賞したのは第4回大会で、入賞カップに酒を注ぎ従業員全員が夜更けまで飲み明かしたそう。これを機に府中家具の業者全体が大きな自信を付け、翌年の第5回大会では5社が大量入賞を果たしました。そしてついに第6回大会では土井木工製作所(現土井木工株式会社)がトップの通商産業大臣賞を受賞します。ウォールナット材を使用した収納セットで技術面もさることながらセンスあるデザインは文字通り日本一の名にふさわしいものでした。
これ以降も斬新なデザインと技術の確かさでトップ賞や上位入賞を独占、審査員長から衆目の中で「府中は日本一」と折り紙付きをもらうのです。

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1990年(平成2年)

現在の府中家具

現在の府中家具メーカーは箱物家具の需要が下がり始めた頃から随分減ってしまいましたが、インターハウジング事業や新商品の開発、ドイツで行われてている世界最大の家具見本市「ケルンメッセ」への出品など、昔と変わらず確かな技術と新たなテクノロジーを用いて様々なことに挑戦し続けています。